- 排便障害について教えてください。
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主に便秘と下痢があります。腹痛を伴うことも稀ではありません。
- 便秘について教えてください。
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食生活や生活習慣の変化(ストレス、睡眠不足や運動不足など)や便意の知覚低下など原因はさまざまです。併存する疾患(糖尿病やパーキンソン病など)によって二次的に生じることもあります。詳細な問診である程度原因を推察することが可能です。水分摂取を充足させることに加え、特に小児では便意を感じたら排便のタイミングを逃さないことが重要です。大腸刺激性下剤(センナや大黄など)を常用している場合は、将来的に効果がなくなってくること(習慣性)にも注意が必要です。原因に応じて適切な治療薬を処方します。継続的な服用が必要になることもあります。
- 下痢について教えてください。
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ウイルス性腸炎や食中毒をはじめとする細菌性腸炎があります。整腸薬で改善が得られることがほとんどですが、長引く場合は便検査で特定した原因菌に対して抗生物質を投与します。また、最近はストレスなどを誘引とする過敏性腸症候群(IBS)も増えており、生活習慣の見直しや投薬治療で症状の改善が得られます。なお、ある種の炭水化物が原因で引き起こされる下痢も見落とされがちです。原因となりうる食事について情報提供させていただきます。
- 排便時出血について教えてください。
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いぼ痔や切れ痔が原因である場合が多いです。紙につく程度から便器が赤く染まるほど出血することも稀ではありません。排便時に痛みを伴うこともあります。排便コントロールと注入軟膏で改善が期待できます。
- 痔の日帰り手術について教えてください。
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注入軟膏で改善の乏しい出血や脱肛(内痔核が肛門の外に脱出すること)に対しては、注射での治療(四段階注射法、別名:ALTA)を行っています。局所麻酔薬で肛門の緊張をとった後、症状の原因となっている内痔核に対し注射を行います。15分程度で治療は終了し、その後1時間程度ベッド上で休んでいただきます。最後に肛門診察をして帰宅となります。治療の翌日、1週間後および1か月後の3度の外来通院で治療が完了します。
- 血便について教えてください。
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血便は便の中に血液が混じっている状態を指します。便秘が誘引となる虚血性腸炎や重症の腸炎でも起こりえますが、潰瘍性大腸炎や大腸がんを発症している可能性もあります。大腸内視鏡検査をお勧めします。
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)について教えてください。
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前述のように出血の原因精査や便潜血反応陽性の二次検診で行います。潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や大腸がんの発見契機となる信頼性の高い検査です。検査は鎮静薬と鎮痛薬を使用して行うため、苦痛を伴うことはほとんどありません。
- 大腸ポリープ切除術について教えてください。
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大腸がんに発展する可能性のあるポリープは腺腫(せんしゅ)と呼ばれる腫瘍性のものです。放置した場合は癌化する可能性があり、小さなうちに切除することが重要です。なお、大きなポリープは癌が潜在している可能性があること、切除後に出血する可能性が高まることから大きな病院での入院治療が必要になります。
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)について教えてください。
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胸やけや胃痛の精密検査で行います。当院では細い内視鏡を使用した苦痛の少ない経鼻内視鏡が施行できます。食道や十二指腸の観察も同時に行います。逆流性食道炎を認めた場合は投薬治療で改善が得られます。胃炎や胃潰瘍の原因となるピロリ菌を認めた場合は除菌治療が必要です。なお、除菌後においても胃がんが発症するリスクがあるので定期的な内視鏡検査が必要です。
- 腹部超音波検査(エコー検査)について教えてください。
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主に腹痛の訴えで来院された患者さまに行います。体表から腹腔内を簡便に観察でき、痛みなどを伴わないために有用な検査です。肝臓、胆のう、膵臓の観察ができるほか、胃や腸の形状(壁肥厚や拡張の有無など)の評価もできます。診断できる疾患として、胆石、胆のう炎、肝腫瘤(のう胞や腫瘍)、肝硬変、膵腫瘤(のう胞や腫瘍)、膵炎、腸炎や腸閉塞(イレウス)などがあります。また、症状によっては腎臓、膀胱、男性の場合は前立腺の観察も行います。
- 紹介先の病院について教えてください。
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どのような治療を目的とするのかで紹介先を選んでいます。外科医の立場から、紹介先はいずれも私の信頼する腕利きの医師が在籍する病院です。もちろん私がお勧めする病院以外でも、患者さまが希望する病院があればそちら宛に紹介状を記載させていただきます。